2014年5月29日木曜日

はるか前方に  天まで届くかの如く

虹色にそびえ立つ巨木

不穏に揺れる大気が

切り取ったように安定してゆく

あれは標

自分を見失った僕は

不安をかき分けて進むけれど

なお遠く なお小さく その姿に

それは募るばかりで

決してたどり着くことはなくとも

唯一の標である限り

僕は進み続けるのだろう

幻惑に満ちたこの荒野を


2014/5/28

2011年6月14日火曜日

何か いる

木の根元 暗がりに

そこだけポッカリ 穴が開いたように

あるのに ない 空間

神であろうか 精霊か

目が離せなくなる 不思議な力

何もいない その空間に

たしかに そこに

何か いる

2011年3月2日水曜日

静寂

静寂が街を駆け抜けていく

ハイウェイをぬうように

騒音の中を 身を隠すように

おいていかれたくないと

必死に そのひとつに飛び込もうとする

たとえその静寂が孤独だと知っていても

ここはうるさすぎるから

一度あのゆりかごに乗ってしまえば

そのまま慣性力にまかせて

世界の果てからその外側へ

放り出されることだろう

何もないということだけがあるところを通って

生まれきた場所へまた還ればいい

静寂が またひとつ駆け抜けていく


2011/03/02

2011年2月24日木曜日

雪解け

一晩降った雪が ふわりと積もって

日の出とともにみるみるとける

いたるところから聞こえてくる

ほとばしるに近い 滴るの音

豊かな生命力に流れ落ちる雪解けに

私は目を覚ます

水滴の穿つその下に湿った

黒く柔らかい土が

もうじき薫るだろう

目を覚ませ

今日の恵みをいただいた

まだ見えぬ生命たち


2011/02/24

2011年2月22日火曜日

誰もがそれぞれに孤独を抱えていて

その孤独を縒り集めて紡いだ糸を絆と云う

絆の縦と横が織り上げるのは

見たこともない色をした

ときに繊細で

かつダイナミックな

無限の万華鏡の世界である

誰もがその美しい世界に繋がっている


2011/02/19

こぼれ落つる

重ねたくちびるから 吐息と笑みが漏れる

かいなに抱きとめられて頬をうずめた

貴方の存在が全てという錯覚

夜毎に訪れる 強烈な自我の否定を

今夜は貴方が溶かしてくれる

不安すぎてつい 腕時計に目がいく

今日だけはどうか

夜は深くて 夜は長くて

この時間が続けばいいと

ただ願いつつ

朝を待つ


2011/02/21

2011年2月1日火曜日

友達ダチ

少し見ない間に イイ男になったね?

言ってることは変わらないけれど

背負っているものが 君にはあるから

その手が頼もしいのは 前から知っていたよ?

ただ ちょっとまだ可愛くて

ちょっとまだ可笑しかっただけ

これからどんどんまぶしくなって

君は歩いて行くんだね

見守るその背中が

ちょっと悔しくて 嬉しいな


2011/2/1